契約

 

婚活パーティやお見合いのように

 

会ったその日から、結婚という目的に向けて

 

歩み寄るような場では、お互いを

 

"結婚相手"という目で見た時の

 

自分の理想の夫像、妻像に合う人を探すでしょうから、

 

コミュニケーションを取っている時には、自然に

 

"これは結婚に至る関係なのかどうか”を意識すると思います。

 

ですから、『私たちの関係、今後どうなるの?』

 

という問いかけは、結婚するのかしないのか

 

ということをベースにした会話になりますよね。

 

 

さて、

 

現代社会において性の多様化が認知されつつある中で、

 

恋人という関係でのお付き合いも色々な形がある世の中になっています。

 

そんな中で、このようなお悩みを経験される方がおられます。

 

 

 

彼がいったい何を考えているのかわからないんです。

私のことは好きだと言ってくれますし、

これからも一緒にいられたらいいな、とも言ってくれます。

普段も優しいので今まで付き合った男性以上に

すごく安心できる人なんです。

知人の紹介で知り合ってから数週間で

彼は『好きだよ』と言ってくれました。

それからそろそろ2か月が経つんですが、

『ねぇ、私たちの関係って付き合ってるの?』と聞くと、

『今は付き合うとかっていう言葉は使いたくないんだよね。

Aちゃんは年齢的にも近いうちに結婚したいって言ってたし、

そうなると、付き合うということは結婚を意識して付き合うということになる。

ただ、今の俺は、結婚も視野に入れた上での付き合い、となると

正直約束はできないし、責任もてる自信もない。

だから、俺はそういう契約的な言葉は使いたくないんだよね。』

って言うんです。

私としては、なぜ"付き合う"と言葉にすることに

そんなにこだわるの?と思って、全く理解できません。

もしかしたら、ただ遊ばれてるだけなのかなと不安になります。

 

 

 

 

男性のこんな言葉は

 

かなり真面目で責任感のある人か、それとも口が上手い遊び人か

 

という両極端な二つの男性像を想像してしまいそうですね。

 

どちらにせよ、相手と真剣交際をしたいと思い

 

男性の反応を待っている女性としては、

 

『なぜ、付き合おうって言ってくれないの?!』

 

と不信感をもってしまうのも仕方ないかもしれません。

 

 

 

例に記した女性は30代半ばの方ですが、

 

これまで恋愛経験はかなり多い方です。

 

ただ、いつも相手の男性の気持ちを信用できずに苦しみ、

 

なんとなく男性の態度が冷めているように感じ始めると

 

自分から関係を終わらせてしまうのです。

 

何度も何度も同じような状況での別れを経験した彼女が、前回の恋が終わった後に、

 

『もう同じパターンの恋愛を繰り返したくないんです‼』

 

と私にご依頼下さった後、この男性との出会いが訪れました。

 

皮肉なことに

 

彼女曰く『出会ったことないタイプ』の男性なのです。

 

 

 

今までの彼女は『付き合おう』という言葉を男性からすぐに引き出せていました。

 

彼女にとっては

 

付き合う="彼女"という立場を約束される

 

という、ある種の契約が成立した気分になり、安心を得られますので、

 

相手との雰囲気が"いい感じ"だと思えば、

 

早いうちにその意思を相手に確認したいのです。

 

 

とは言え、お付き合いが始まると…

 

『私って本当に"彼女"って思われている?』

 

『"彼女"だと思ってたら、仕事が忙しくてももっと頻繁に会うよね?』

 

『"彼女"との会話は簡単に忘れないよね?』

 

と、本来彼女にとっては安心であるはずの

 

"彼女"という立場に逆に振り回されてしまい、

 

自分の中の"彼女"の定義で男性の気持ちを測り続けては、

 

不信感を膨らませ安心という状態とはほど遠くなってしまいます。

 

ですから、裏切られたとか、心を深く傷つけられた、等の出来事があって

 

別れを選ぶのではなく、彼女の中の

 

本当に"彼女"として愛されているのか信用できない

 

という不安によって関係を終わらせていたのです。

 

 

 

愛は感覚で湧いてくるものですから、

 

"付き合う"その日から相手に対して

 

『一生この人と共に歩んでいきたい』と思える程の

 

深い愛情が湧くということが決して約束されているわけでない事は

 

恋愛経験のある多くの方はお分かりの事と思います。

 

とは言え、自分が好きになった相手が

 

自分を好きだと言ってくれれば当然嬉しいですし、

 

最初は大抵盛り上がりますよね。

 

恋の魔法というアレです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その状態から、コミュニケーションを重ねていく流れの中で

 

相手への信頼感や不信感などの感情が生まれます。

 

もちろん不信感がありながらも結婚を選ぶという事もあると思いますが、

 

信頼関係を重ね、お互いが『この人とだったら結婚したい』という気持ちで

 

結婚するというのが、一番不安がないですよね。

 

 

 

もともと結婚願望が強い彼女は、

 

『彼がはっきりしないなら、早く別れたほうがいいと思うんです。

 私の本音はやっぱり結婚したいし、その相手が彼がだったらいいな、とも思います。

 ただ、彼が付き合うと決めてくれないなら、

 今後コミュニケーションする事自体、はっきり言って無駄だと思うんです。』

 

と話していました。

 

 

 

この彼女の考え方は今までの彼女の恋愛の仕方と同じく

 

早急に白黒ハッキリというものです。

 

ただ、彼女が結婚相手に求めている一番大事なことは

 

彼女の心が信頼できる男性です。

 

とにかく早急に相手の男性が結婚をしたいかどうか知りたいというだけなら

 

相手にその意思を確認するだけで関係を続けるかどうか決断できるかもしれませんが、

 

心が求めている相手は愛されていると信頼できる男性なので

 

本来、そんなに早く答えが出せるものではないので

 

"考え"と"心"に意見の矛盾があることになります。

 

 

 

 

 

彼女は彼に愛されているかどうかについて

 

彼の恋愛観や結婚観にはかなり注視しますが、

 

彼からの優しさを感じている自分の気持ちや彼といる時の安心感など

 

愛情関係においては大切であるそれらの感覚を自分の心から感じていながら

 

ほとんど参考にしようとしていません。

 

 

 

恋愛観や結婚観のような考え方は変化することがあります。

 

それまで結婚自体に興味がなかったとしても

 

『この人との結婚ならいいかもしれない』という気持ちが生まれる事は

 

男女共に決して珍しいことではないでしょう。

 

 

 

考え方の変化は、ほぼ心によるものですから

 

結婚したい→したくない

 

結婚したくない→したい

 

という可能性は常にあります。

 

 

となると、

 

彼女のように信頼できる人と早く結婚したいという気持ちの場合、

 

まず、彼が信頼できる人なのかどうか、彼女の心が体験を重ねなければ

 

彼の考えを問う以前に、彼女にとって彼が

 

本当に結婚したいと思える相手なのか

 

を迷い続けるでしょう。

 

 ですから、疑いの目だけで相手を見ていては、

 

いつまで経っても信頼関係は築けません。

 

 

 

 

信頼できるかどうかという事については

 

相手の人間性のみ重要だ、と思いがちですが

 

いくら相手が人柄も良く信頼できそうな人に感じても、

 

自分の心がその男性から"愛される”可能性を

 

信じて関わらなければ、信頼関係はなかなか生まれないのです。

 

 

 

 

 

彼はお付き合いの形について話し合った時こうも言っていたそうです。

 

『Aちゃんが望んでいるような事を言葉にするだけなら正直簡単なんだよ。

そんなのは誰でもできると思うし。

でも俺としては、これからの俺の態度とかで俺の気持ちを感じ取って欲しいんだよね。

 俺も、Aちゃんとずっと一緒に居たいって気持ちが

 自分の中でもっとはっきりしたら、その時は結婚の事だって

 ちゃんと考える気持ちはあるから。』

 

 

 このような、過去のお付き合いでは

 

一度も言われなかったような言葉を言われ、

 

『本当に理解不能です』と、彼との関係を

 

今後をどうしたらいいのかについて

 

ずっと迷っていた彼女でしたが、

 

『彼から未来を約束された言葉はないけれど、

 今の時点で彼の事が好きで、安心できて、また会いたい、もっと話したい、

とAさんが感じられるのであれば、早急に答えを出そうと考えるよりも、

 自分の心が感じることを一度信頼して過ごしてみたらどうだろかしら』

 

 という私の提案に対し、

 

『彼の優しさを嘘とは思えないので…不安はあるけれど

もうちょっと前向きにコミュニケーションしてみます。』

 

と、彼の優しさを信じたい自分で過ごす選択をしました。

 

 

一見、二人の状況には大した変化がなさそうに思える状況ですが、

 

彼女にとっては約束に頼らず心を優先してみる事

 

とても勇気のいることだと思います。

 

でも、それは愛に向かう体験でもあるのです。

 

 

 

ですから、

 

理解不能な『出会ったことないタイプ』の彼が

 

彼女の人生にこのタイミングで現れたことは、

 

ちょっと皮肉で…とても素敵な出来事ではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相手の愛を感じたければ

 

心を開いたコミュニケーション意外に確かめる術はありません

 

 

 

 2017 / 12/ 5                  kyoko♪